しあわせ食堂の異世界ご飯５
　デザイナーの答えを聞いて、アリアは頭にクエスチョンマークを三つほど浮かべる。ちゃんと自分で思っていた通り、標準だったようだ。
「でしたら、このままでいいのでは……？」
　デザイナーの迫力と、自分の体形ということもあり、アリアは恐る恐る自分の主張を伝えてみる。
　無理に痩せる必要はないのでは……と思いアリアが問いかけると、デザイナーは頷いた。
「わたくしはデザイナーですから、ドレスを最高の状態で着てほしいのです。というのが、理由のひとつ」
　どこの国も、モデルになる女性は標準体型よりも痩せているな……と、アリアは思い浮かべる。
「けれど、本当の理由は別にございます！」
「本当の理由？」
　意味深に告げるデザイナーに、アリアの目も真剣味をおびる。
「もちろん、皇帝陛下を落とすためでございます！　陛下はまだ独身であらせられますから、ここでアリア様の魅力を最大限に活かして虜にしてしまうのです。ほかの姫君たちも気合いを入れるでしょうから、後れを取るわけにはまいりませんでしょう？」
　つまりは、悩殺してしまえ――ということだ。
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表紙・目次

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