しあわせ食堂の異世界ご飯５
「これからはしあわせ食堂で会っても、冷静でいられる自信がないです……」
　なんて運命の巡り合わせが悪いのだろうか。
「リントお兄さまとアリアお姉さま、いい雰囲気だと思っていたのに」
　皇帝であることを知ってしまった今は、ふたりが結ばれる可能性なんてゼロだ。
　貴族の令嬢であるリズは、リベルトとアリアの身分差がとても高い壁だということを理解している。
「……それに、リベルト陛下の婚約者候補のお姫様が王城には滞在しているはず」
　ただ、まだ誰とも婚約はしていなかったはずだ。
　――と、リズが知っているリベルトのことはこれくらいだ。
　偽名を使い、リントとして行動していることも知らなかった。もしかしたら、そのことはライナスも把握していないかもしれない。
　気持ちを落ち着かせるために冷めた紅茶に口をつけると、今度は庭園に誰かが入ってきた。
（うぅ、落ち着いて考え事もできません）
　侍女が戻ってきたら場所を移動しよう、リズがそう考えたところで――先ほどよりも、さらにガツンと大きな衝撃に襲われた。

「ア、アリアお姉さま!?」

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表紙・目次

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