しあわせ食堂の異世界ご飯5
 アリアは一度厨房に戻り、シャルルから聞いて準備を始めていたカミルに声をかけた。
「ごめんね、お待たせ」
「おう。みんないい人そうだったな」
「うん」
 どうやら面接をしていた声は厨房にも聞こえていたようで、カミルは内容を把握していた。誰を雇ってもうまくやっていけそうだと、安心している。
「んじゃ、朝食の準備だな」
「今日は卵でふわとろの『スクランブルエッグ』を作ろうかな。カミルはパンとソーセージを焼いてね」
 ふわふわした、ホテルの朝食で出されるようなものにしよう。アリアがそう考えていると、ソーセージを手に取りながらカミルが首を傾げた。
「すくらんぶるえっぐ? 卵で作るのか?」
「ああ……卵焼きの仲間? みたいな感じかなぁ……」
 どちらかといえば、卵を綺麗に成形しなくてもいいので失敗が少なく、初心者にはこちらのほうが難易度は低いだろうか。
 アリアも小さいころに、うまく卵を巻けなくてスクランブルエッグにしてしまったことがある。
(そういえば、カミルも最初のころは卵焼きじゃなくてスクランブルエッグになってたなぁ)
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