しあわせ食堂の異世界ご飯５

　もし相手がアリアではなく傲慢な令嬢であれば、不敬罪にされてしまっていたかもしれない。
「……とはいえ食べないと力が出なくて仕事にならないから、サラダの量を増やして、ご飯を減らそうかな？」
　ご飯の糖質を減らしていく作戦と、あとは運動を……思い返せばまったくしていなかったので、体を動かす習慣をつけることにする。
「でしたら、裏庭で一緒に鍛錬しましょう！　最近は、クウも凛々しくなってきましたからね！」
　しあわせ食堂の番犬として活躍できる日も近いかもしれないと、シャルルが胸を張る。
「いつの間にクウちゃん……」
　まだまだ体重も二キロと可愛い盛りなのに、このままではマッチョ犬になってしまうかもしれない。
「シャルル、ほどほどにね……」
「はい！　お任せください！」
　元気な返事は不安しかないけれど、実際一番クウの面倒を見てくれているのはシャルルで、懐いている相手もシャルルだ。
（間違いなく、シャルルを主人だと思ってるよね）
　クウがシャルルの後ろをついて回ることがあるのだが、尻尾を振りながら歩く姿はそれはもう愛らしい。
「あ、あそこで野菜を買いましょう」