しあわせ食堂の異世界ご飯5
「ああ、ごめんごめん。お腹空いてるよね」
 クウを床に下ろすと、一直線にご飯のお皿に走っていった。よっぽど腹ペコだったようだ。
「ご飯には敵わないかぁ……」
 ちょっとくらい自分を優先してくれたら嬉しかったのにと、アリアはしょんぼりする。とはいえ、自分も料理を優先することが多いので、似たようなものかもしれない。
 たんとお食べ……アリアがそう言おうとすると、シャルルからストップがかかる。
「駄目ですよ、クウ。待て! です」
『わふぅん……』
 シャルルの言葉の意味がわかったようで、クウは耳と尻尾をぺたりと下げて餌の前でお行儀よく座った。
 きちんと躾を行っていたことに、アリアは驚いた。
「すごい、クウちゃんもう待てができるようになったんだ……」
「もちろんです! 自分勝手な犬は、いつか愛想をつかされてしまいますからね。いいですか?クウ。きちんといただきますの合図まで待つんですよ」
『わうぅ』
 クウは食べたいのをぐっとこらえて、了解とばかりに鳴いた。
「んじゃ、クウが可哀相だから食べようぜ。俺、このままずっと見てるのつらい……」
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