しあわせ食堂の異世界ご飯5
 しっかり茹でてあるので、噛んだ瞬間パリッといい音を立ててふたつに割れて、その弾みで肉汁が口の中で暴れまわる。
「この歯ごたえ、たまりません! 何本でも食べられちゃいます!!」
 シャルルがすごい勢いで食べて、あっという間にサラダうどんを完食してしまった。
(早……っ!)
「量が足りなかったら、追加を用意しようか?」
「いいえ、大丈夫ですよ。美味しくて夢中で食べちゃいましたけど、具がいっぱいありましたし、麺もたっぷりだったのでお腹いっぱいです」
 満足ですと、シャルルがいい笑顔を見せてくれた。
「さっぱりしてるからどんどん食べられるけど、確かにボリューム満点だもんな」
 もっと食べられそうだけど、これ以上はお腹がいっぱいになって動けなくなりそうだとカミルが真剣な表情で言う。
「カミルってば! でも、ふたりに満足してもらえてよかったぁ」
 自分のために野菜を多めにしたので、物足りないと思われたら申し訳なかったのだ。
「クウも美味そうに食ってるし」
「そうだね」
 今日のクウのご飯は、たっぷりの野菜とアリアたちも食べているソーセージだ。夢中になって食べているところを見ると、気に入ってくれたのだろう。
 シャルルはクウの横にしゃがみ込んで、その食べっぷりを嬉しそうに眺める。
「いっぱい食べて立派な番犬になるんですよ、クウ」
『わんっ』
 クウは元気いっぱい返事をして、尻尾を振った。
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