しあわせ食堂の異世界ご飯5
「それじゃあさっそく走りましょう! 私はクウと後ろを走るので、アリア様のペースで行ってください」
 自分のペースで走ることができるようで、そのことにはほっとする。走るのは久しぶりだから、無理せずゆっくり行こう。
「よーっし、頑張るぞ!」
 アリアは気合いを入れて、走り出した。

 学園のトラック一周は約三〇〇メートルある。だいたい三周ちょっとで一キロ走るという計算になるのはみな様ご存じのことだろう。
 気になるのは、いったいどのくらいのタイムで走るのか……ということ。
 だいたいアリアと同じ年ごろの女の子は、日本であれば五分程度だが、この世界の平民であれば四分ほど。
「はぁ、はぁっ……」
「アリア様、まだ走り出したばっかりですよ! ファイト、ファイトー!」
『わうわうっ!』
 アリアはやっと、三周を走り終えたというところだろうか。この時点で、すでに七分ほどが経過している。
「はっ、はぁ、まさかここまで体力がなかったなんて……」
 確かに王女として城の中で過ごすことが多かったし、どちらかといえば動かない生活だったといえるだろう。
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