しあわせ食堂の異世界ご飯5
 もっと早くこの料理を知りたかった。そうしたら、家で食べることができたのに。卵ひとつでこれだけ美味しい料理ができること自体が革命だ。
 レオンはアリアに言われた通りに、トマトケチャップをスプーンですくう。まずは少量と、たっぷりの卵で。
「トマトのソースをつけて……っと、……っ!!」
 今度は卵の甘さに、トマトの酸味がアクセントになっていて、さらに違う味を楽しむことができた。
 ケチャップがあるのとないのでは、正直に言ってまったく違う。
「……そのままでも、ソースをつけても、どっちも美味しい。でも……強いて選ぶなら、俺はそのまま食べるほうが好きかも」
 レオンがそう感想を告げると、アリアはうんうんと頷いた。
「素材の味っていう感じがして、そのまま食べるのもいいよね。気に入ってもらえて嬉しいな」
「いえ、こっちこそ……朝ご飯までいただいてしまって……ありがとうございます」
 アリアの料理の美味しさに、レオンははにかむように微笑んだ。

「ん~、外はカリカリで中はふわふわね! 家ではこんなに美味しいパンを食べられないから、すごく嬉しいです」
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