しあわせ食堂の異世界ご飯5
 エマが椅子から立ち上がったので、アリアも一緒に立ち上がる。せっかくなので、なにかお菓子でも作るのもいいかもしれない。
「私は出かけてくるよ。アリアちゃんは……料理をするんだったね」
「はい。シャルルも出かけてますし、お店でのんびりしてます」
「わかったよ。私も夕方には帰ると思うから」
 近所の奥さんたちとおしゃべり会をするようで、エマは楽しそうに店を出ていった。
 それを見送っていると、ちょうど二階の居住部分からカミルが下りてきた。あくびを噛み殺しているのを見ると、どうやら寝ていたらしい。
「おはよう。もうお昼になるよ、カミル」
「はよ。夜更かししすぎたなぁ……練習がてら朝飯でも作る。アリアは……食べた?」
「食べたよ」
 アリアがくすくす笑いながら答えると、カミルも「だよなぁ」と笑う。そのまま厨房に消えるのを見て、そうだったと先ほどのことを思い出す。
「新しい従業員さんが決まったから、カミルはカレーの作り方を教えてあげてね!」
 そう言うと、ガシャンという音が響いた。
「カミル?」
< 25 / 181 >

この作品をシェア

pagetop