しあわせ食堂の異世界ご飯５
　爽やかな笑顔と、外にはねたオレンジ色の柔らかい髪。しあわせ食堂のひとり息子で、アリアから料理の手ほどきを受けている。
　まだ創作メニューは作れないけれど、料理の基礎やカレーなどの鉄板メニューは習得済みだ。

　仕込みは終わったので、あとは片付けなど簡単な雑用が残っているだけだ。ふたりでやれば早いけれど、ひとりでできない内容でもない。
　押しつけるようなかたちで申し訳ないけれど、アリアはこれから従業員募集に応募してくれた人との面接をする予定になっている。
　その理由は、しあわせ食堂が新しく設立される学園の給食を担当すると決まったからだ。今のままでは人手が足りないので、新しく人を雇うことにした。
　なので、働く場所はしあわせ食堂ではなく『ジェーロ帝国学園』の厨房になる。
　作る料理はアリアが監修した献立。学園は夏の終わりに開校され、それまでの間にアリアが料理の研修を行う予定だ。
「いい人が来るといいな」
「うん！」
　カミルはゴミをまとめながら、嬉しそうに頬を緩めた。
　しあわせ食堂はアリアが来るまでは家族経営だったので、人を雇えるまで大きくなったことが嬉しいのだろう。
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