しあわせ食堂の異世界ご飯5
 その瞳は、期待に満ちているのがすぐにわかる。
「料理が好きな人が来てくれるといいよね。あとは、子供好きだといいよね」
「学園の料理だから、そうだよな。子供と話すことも多そうだし、乱暴なおっさんとかは勘弁してほしいな」
 そんな人が来たら俺も怖いと、カミルは笑いながら肩をすくめる。
「ああでも、あんまり料理のうまい人が来たら俺の立場がないな……」
「カミルってば心配しすぎだよ。厨房は別の場所にあるし、そんなの気にならないよ。でも……同じ年代でうまい人がいたら競い合えていいとは思うよ?」
 いい刺激を受け、もっと上に行こうと料理がうまくなっていくだろうし、創作の幅もきっと広がるだろう。
(なにより、誰かと一緒に料理して上達するのは嬉しいもの)
 相手を認め、認められる。そんな料理を作れたら、カミルも胸を張って一人前の料理人を名乗ることができるだろう。
 いつかそんなときがくると思うと、今から楽しみだ。
「って、話し込んでたら駄目だな。新しい従業員のことは頼んだぞ、アリア」
「うん、いい人を見極められるように頑張るよ!」
< 4 / 181 >

この作品をシェア

pagetop