しあわせ食堂の異世界ご飯５
　なんといっても、しあわせ食堂の新事業の要となる人材の雇用……面接するアリアとエマも気合いが入る。
　店内にカランとドアベルの音が響き、来客を知らせた。どうやら、求人に応募してくれた人が来たみたいだ。エマが対応している声が、厨房まで届く。
「じゃあ、ちょっと行ってくるね」
「ああ」
　カミルにひと声かけると、アリアは厨房から店内へ出た。

　しあわせ食堂の店内は、通りに面した場所に大きな窓があり、とても明るい。
　カウンターが五席、ふたり掛けのテーブル席が二席、四人掛けのテーブル席が三席用意されている。
　決して広くないが、店主であるエマの気遣いが行き届いた落ち着く空間だ。
　アリアが店内に出ると、すぐに気づいたエマが声をかけてきた。
「ちょうどよかった！　アリアちゃん、厨房はもう大丈夫かい？」
「はい。仕込みはもう終わったので、あとはカミルにお願いしました」
「そうかい。準備が間に合ってよかったよ」

　ほっとした笑みを見せたのは、しあわせ食堂の店主であるエマ。
　恰幅がよく、丸い眼鏡がチャームポイントの女性だ。
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表紙・目次

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