しあわせ食堂の異世界ご飯５

「はふっ、あついぃっ」
　すぐに口に入れてしまったせいで、唐揚げの肉汁があふれ出てしまったようだ。慌てて水を飲んで、けれどその美味しさから噛むのをやめられないらしい。
　はふはふしながら一生懸命食べている姿を見ると、料理人冥利に尽きるものがある。
「なくならないから大丈夫だよ？」
「だって、すっごく美味しい！　ララ、こんなジューシーなお肉ははじめて！」
　かじるとざくっという軽快な音。けれど噛みしめるとじゅわぁっと広がる肉の旨み。ふたつを同時に味わえることに、体が震える。
　隣を見るとシャルルとエマがもりもり食べているので、子供から大人まで虜にできてしまうことがわかる。
「学園の給食に出したら大人気になりそうだね」
「「がくえん!?」」
　ララとナタリーが目をかっと見開き、アリアを見た。
「これが食べられるなら、ララも学園に通いたい！」
「わたしも！」
　ふたり揃って手を挙げ、自分も通いたいと主張する。
「お昼につられちゃったかぁ……。もちろんそれも歓迎だけど、今年の入学者はもう決まっちゃってるんだよ。だから、来年の入学募集に申し込んだらいいよ。家に帰ったら、お母さんに話してごらん」