しあわせ食堂の異世界ご飯５

　最終学年の五年生では、希望の職業……騎士や女官、商人、各職人など特化したクラスに行くことができる。
　まだ一学年しかいないため、専門の教師が決まるのは数年先になる。しかし、今から探しておかなければ優秀な人材を確保するのは難しい。
（リベルト陛下も大変だって言ってたものね）
　設立したばかりなので、しばらくは厳しい状態での運営になるだろう。
　最後の教師が挨拶を終えるのを見て、アリアは終わりかな……と考えていたのだが、そうではなかった。司会者がアリアに視線を向けて、にこりと微笑んだ。
「では最後に！　昼食の制度……給食のメニューを監修してくれる、しあわせ食堂の料理人アリアさんからの挨拶となります」
（そんなの聞いてないよー!?）
　普通は店主がするものじゃないのかと思いアリアがエマを見ると、すさまじい勢いで首を振られてしまった。
（もしかしてエマさんが代表の挨拶を私に指名したの!?）
　手を合わせて申し訳なさそうにしているエマを見る限り、十中八九そうだろう。せめて事前にひと言もらえれば話す内容も考えることができたのに……。