しあわせ食堂の異世界ご飯5
「私がすることは、みなさんのお昼ご飯を考えることです。美味しいご飯で、健康な体を作っていくお手伝いをします。とはいえ、みなさんがそんな難しいことまで考える必要はないです。それは私たち料理人の仕事なので、みなさんは美味しく食べて、元気に勉強してください。ご飯の楽しみを、勉強を頑張るエネルギーにしてもらえばいいなと思っています。どうぞよろしくお願いします」
 アリアが話し終えると、わあぁっと子供たちから拍手が起こった。
 ほとんどの子供がしあわせ食堂を知っているので、みんなちゃんと聞いていてくれたようだ。
 そしてひとりの子が、すうっと息を吸った。
「給食楽しみですー!」
 どうやら、しあわせ食堂の料理が大好きな子のようだ。つられて、何人かの子供も楽しみだと口にしてくれた。
「こらこら、楽しみなのはわかりましたから静かにしてください! まだ入学式の途中ですからね!」
 司会が慌てて子供をたしなめつつも、自分もお昼が楽しみですと付け加えたのでみんながどっと笑う。
「ありがとう、頑張って作りますね!」
 アリアは子供たちに手を振って、壇上を後にした。
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