しあわせ食堂の異世界ご飯5
 そう言って、リントは優しくリズの頭を撫でる。それが嬉しくて、リズはえへへと笑う。
「でも、お父さまは心配しすぎだと思うんです。わたしだって、もう七歳なのに」
 頬を膨らませて、もう子供ではないとリズが主張する。
 リントから見ればそんなところが十分子供だけれど、そこも可愛らしいのであえて黙っておく。
「リントお兄さまは優しいです。本当のお兄さまだったら毎日楽しかったのに」
「そんなことを言うと、リズのことが大好きなお父さんが泣くぞ?」
 そう言って、ふたりで笑う。
 ……その様子を父親であるライナスに見られているなんて、夢にも思わずに。

 しばらく校庭を見ていると、リズがきょろきょろし始めた。リントとローレンツも違和感に気づいて、辺りを見回す。
「……すっごく、いい匂いがします」
「厨房だろう。そういえばアリアはまだ……なんだか騒がしいな」
 そろそろアリアも来るかと考えたが、なぜか厨房の建物がざわついている。もしかしたらなにかあったのかもしれない。
「少し様子を見てきましょうか?」
「いや、一緒に行こう」
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