しあわせ食堂の異世界ご飯5
「何事もないといいが……」
 とりあえず今は待ちだということで、リントは先になにを作っているのかアリアに確認することにした。
「見たことのない料理だな」
「これはお好み焼きです。小麦粉と水と卵があれば作れちゃう、お手軽料理です。今日はキャベツ、豆、お肉が入ってますよ」
 焼きあがったらソースを塗ってできあがりと、アリアが焼けたお好み焼きをリントへ渡してくれた。どうやら食べていいらしい。
「こっちはローレンツさんとリズちゃんの分です」
 ローレンツとリズと一緒に食べてみると、外はカリッとして中はもちもちの柔らかい食感に目を丸くする。
「……本当に、アリアの作る料理はなんでも美味いな」
「ありがとうございます」
 リントが褒めると、アリアは花がほころんだような笑顔を見せた。
 それが可愛くてつい頭を撫でたくなって――しかしほかにも人がいることを思い出し、すんでのところで手を止める。
「リントさん?」
「なんでもない……」
 まさか無意識の内に手が動くなんてと、額に手を当てて俯きため息をつく。後ろでローレンツが意味深な視線を送ってきていたが、気づいていないふりをした。

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