我妻教育3
婚姻届。


目の前に差し出されたのは、二度見してもやっぱり婚姻届。
三度見してもやっぱり婚姻届。

しかも、きっちり啓志郎くんの名前も書かれている。

ーーーいやいやいやいや、早い早い早い早い!!!

「早すぎるって!啓志郎くん、まだ未成年でしょ?!」

そんな急いで結婚しなくても!!!

「いずれすることならば、早い方が良い。
社会的な信頼にも繋がる一人前の証になるからと、早く身を固めることは良いことだと、ずっとそう聞かされて生きてきた」


さすが、小6で見合いさせられるようなお家柄!!

やっぱり本気だったんだ!
年末、ニューヨークに戻る前、あたしと結婚するって言ってたこと。

冗談じゃなかったんだ!!
冗談なんて言うような子じゃないけど!!

慌てるあたしに対して、啓志郎くんの強気な切れ長の目元は微動だにしない。

「未成年ではあるが、生活のことなら、投資で稼いだ貯えは少しだがある。
親に養って貰わずとも、自活できる。
心配はいらぬ」

投資?!そんなことまでしてるの?
スゴいな、この子は!怖いな!!

松園寺家の当主になるために、相応しくあるために、たくさんの努力をしている。

結婚することも、一人前の大人の男として認められる材料の一つってこと。義務。

それに、前に優留ちゃん(啓志郎くんのイトコ)が言ってた。
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