我妻教育3
刷り込みのような感情で、あたししか見てないなら、勿体ない。

「恋?」

啓志郎くんは怪訝そうな顔であたしを見る。
あたしは力強く頷いて見せた。

「そう!結婚って、恋の延長にあると思うの!」

「恋とはどういうものだ?」

「はい?」

「恋とはどういうものか、教えてくれ」

恋とは…何?って……
ものすごい真剣な顔で質問されたって…

「えー…っと、誰かといて、ドキドキワクワクしたり…とか??」
とか、って。

…難しい。頭を抱えた。

「…残念ながら、あたしが教えることが出来るのは料理くらいだよ…」

いい年して情けない…。
恋なんて、久しくしてないんだもん。


「恋をしていれば、結婚してくれるのか?」

「え、それは…まあ、その…」

…うーん?
そういうことじゃないんだけどな…。

あたしたちはダメなんだって。
家と仕事が関係ないって、そう思ってるのは啓志郎くんだけだよ?

でも、あたしのことを本気で好きで、それで結婚して欲しいと言われたら、…そしたら、あたしはどうする…んだろう?
< 13 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop