我妻教育3
啓志郎くんは真摯な態度は崩さないまま少し考え、自分なりに納得したように立ち上がった。

「承知した。
恋をしていれば、それを証明できれば、結婚を承諾してくれるということだな?
それまで婚姻届は持っていておいてくれ」

「え…」

「済まぬがこの後、本社で予定が入っておる。また連絡する」

「あ、うん。じゃあまた」

一方的に渡された婚姻届。

余韻すらなくあっさり。
さらっと去っていく啓志郎くん。

嵐が去った?
それともこれから嵐が来るの…?

なんとも言えない置き去り感を感じつつ、啓志郎くんの背中に手を降った。
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