我妻教育3
揚げ物を作ってるときに油がはねることは、料理をする上で避けられないことではあるけど…。
火傷の状態が見えない。

「明日ネイルの撮影なのにどうしよう!撮影行けないよ!!」

泣き出すマイラ姫に、教室がさらに騒然となる。

「初心者向けだって聞いてたのに、火傷するような料理させられるなんて思わなかった!」
マイラ姫は泣きながら訴える。
マネージャーに促され、啓志郎くんに背を押されて、教室の玄関へ向かった。

車を待つマイラ姫に、講師と共にあたしは頭を下げた。
「申し訳ありません」

「初心者コースで生徒から目を離し、火傷を負わすなんて、こちらの教室の危機管理はどうなっているのですか!?
側にいたのは貴女ですか?」
マネージャーは、あたしに厳しい視線を向けた。

「待て、マイラの一番側にいたのは私だ。
怪我の責任ならば、私にある!」
啓志郎くんが、マネージャーに強く反論した。

「やだあ!違うよ、啓志郎さまは悪くない!!」
マイラ姫が声を上げ、啓志郎くんにしがみつく。

「本当に申し訳ありません、側にいたのはわたしです」
あたしは謝り、更に頭を下げた。

指導する立場で近くにいたのはあたし。
啓志郎くんに責任はない。

油がはねたのは間違いないけど、そこに至った説明もできず、頭を下げ続けるしか思いつかない。

「責任は講師である私にあります」
すぐに講師があたしをかばって頭を下げたけど、マネージャーの怒りは収まらない。

「責任者はどなたですか?貴女方では話にならない!」
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