我妻教育3
騒ぎを聞きつけた室長も慌てて駆けつけ、「金峰下さま!この度は申し訳ありませんでした」深々と頭を下げた。

啓志郎くんにしがみついたままマイラ姫は泣き続けている。

「マイラ、病院で診てもらうから、少し落ち着くのだ。
怪我は可哀想だが、料理をしていて油がはねることはよくあることだろう?」
見かねた啓志郎くんが慰めようとするも、火に油。

「落ち着けないよ!!マイラはモデルなんだよ?!」
マイラ姫はさらに感情的になって、ワッと泣き声を上げた。

「…そうだな、済まぬ」
啓志郎くんは困ったように謝って、道路脇に止まった車にマイラ姫を乗せた。

マネージャーがこちら側に睨みをきかせた。
「先に病院へ向かいます。
後程、そちらの社長とお話させていただきますので!失敬!」

激昂したまま、マネージャーも車に乗り込む。

室長は、「畏まりました。後から私もご一緒いたします」恐縮しながら何度も頭を下げた。

「キンポウゲのお嬢様に…何てことを…」
講師は真っ青な顔をしている。

その言葉にあたしも、引いていた血の気がさらに引いた。

どうしよう。本当ににどうしよう。
足がガクガクする。

「未礼」
啓志郎くんが近寄ってきて、心配げにあたしの顔を覗き込んだ。
「大丈夫か?」
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