我妻教育3
「大丈夫。啓志郎くんは、マイラさんに付いててあげて」
心配させないように、にっこり笑いかけて、啓志郎くんの肩を押す。
本当は笑ってる場合じゃないんだけど…。

「ああ、また連絡する」
急いで啓志郎くんも車に乗り込んだ。

車はすぐに発車した。

室長も自車に乗り込むと、マイラ姫たちの車の後を追い、病院へ向かった。


途中だった料理教室は、講師が何とか収拾をつけてくれた。

あたしは、無事終了した教室で一人、後片付けをしながら、室長が帰ってくるのを待った。
その間、生きた心地がしなかった。


「幸いにも、火傷は軽傷でした」

小一時間して帰ってきた室長の言葉に安堵しつつも、気持ちはその後もずっと落ち着かなかった。


夜、仕事終わって家にいても一人不安だった。

夜9時半過ぎたくらいに、啓志郎くんから着信が入った。

『少し会えないか?』

「あ、ごめん。もう家にいて、お風呂も入っちゃったから、もう出れないや…」

『そうか、ならば仕方がないな』

「マイラさんは、大丈夫?」

『ああ、怪我なら大丈夫だ。水ぶくれはできているが、幸い傷跡も残らないだろうと医師からは聞いている』
啓志郎くんの声に深刻さはない。

「よかった…」

室長からも事前に聞いていたけど、改めて啓志郎くんの口からも確認できて、心底ほっとした。
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