我妻教育３

「ロッシーニ♪ロッシーニ♪赤ワイン♪赤ワイン♪」上機嫌に口ずさみつつ腰かけた。
優留ちゃんは、蓮下シェフの作るロッシーニと赤ワインが大のお気に入り。

「未礼も一緒に食おうぜ♪」
いきなり優留ちゃんが誘ってきた。

「あたしは仕事中だから」

「いいよ。ディナーのピーク過ぎたから。
たまには女子会でも楽しんだら？」と蓮下さん。

「でも…」

「オーナーの蓮下さんがいいって言ってんだから、お言葉には甘えちゃいな。
新香も未礼と話したいって、せっかく来たんだからさー。
早くワイン持ってきて、座れよ」

「え」新香さんがあたしと？

新香さんと目が合う。
ほのかに微笑む新香さんにドキンとした。目がキレイ過ぎる！

やっぱ啓志郎くんと似てるな。
上品なのに綺麗なだけじゃない意志の強さみたいなものが瞳とか姿勢とかから溢れている感じ。

蓮下さんが前菜を用意してくれているから、あたしは白ワインのボトルを持って席に行った。

グラスに注ぎながら、「新香さん、お酒は大丈夫ですか？」
新香さんの顔を伺う。

「ええ。好きです」

「大丈夫。新香見た目と違って意外とイケる口♪
社交界で飲めないと話にならないからな」

「よかった」

２１歳なのにすでに酒豪の優留ちゃん。
清楚だけど意外とイケる口の新香ちゃん。

啓志郎くんのお姉さんと一緒にゴハンだなんて緊張する。
でも優留ちゃんがいるから大丈夫かな。