我妻教育3
「酒と合わせるとなんでこんなに広がるんだろうな!」

「相乗効果でますます美味くなるのね…素敵。美味しい食事を頂くと、世界が広がります」

うっとりと酔いしれてる二人の姿を見て、誇らしい気持ちになる。

ああ、良かった。

提供したものを喜んで貰えるって、何でこんなに幸せなんだろう。

もっともっと、喜んで貰えるようになりたい。

「さすが美味いもん食いたかったら未礼だな!間違いない!」

満足げに優留ちゃんはグイッと日本酒をあおって、ニカって笑う。
黒目が大きくてショートヘアがカッコ可愛い。

松葉グループのご令嬢で、優秀で、それでサバサバしてて。

中学高校でも、女子からの人気が高かったのもすごくよく分かる。

実家が失脚して、バイト掛け持ちしてるこんなあたしにも変わらず接してくれて、イイ子だよなぁ~。

「…優留ちゃん、こんなあたしと仲良くしてくれてありがとう」
思わずほろっと口から出てしまう。

「あ?家が落ちぶれたこと気にしてんなら、気にするなよ、未礼」

相変わらずはっきり言うなぁ。
でもなぜか優留ちゃんが言うと全く嫌味を感じないんだよね。

「金や名誉は持ってるんだ私は。
だから友人に金と名誉は求めてない。
未礼は自分のこと卑下しすぎなんだよ。
未礼は私の知らないことを知ってる」

「優留ちゃん…」
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