我妻教育3
仕事のこと、これ以上追求されないようすぐに質問を投げかけた。
「亀集院さんは新郎さんの…?」

「うん。僕は、新郎の大学時代のサークル仲間だったんだ。山岳部の」

「そうなんですね!山岳部!
今でも登山はされてるんですか?」

山岳部かぁ~。だから、体型良いのか。

「ああ。今でも登っているよ。
とはいっても、一年に一回くらいだけど」

「お忙しいですもんねぇ」

にこやかに会話がすすむ。
亀集院さんって、こんなに話しやすい人だったんだ。


「未礼ったら、早速ブーケ効果?」

あたしと亀集院さんが話しているところを見て、新婦と友人たちが集まってきた。

「いきなり出会い!?キャー( 〃▽〃)
いいなぁ~!式には呼んでよー?!」
と周囲が勝手に盛り上がる。

「ちょっと、違うよ、そんなんじゃないから」

否定するあたしの横で、亀集院さんは新郎に肩を抱かれた。

新郎は少し酔っているよう。
「翔太ぁ、人の結婚式でナンパなんて、ちゃっかりしてるなぁ~」

「わかってるなら邪魔するなよ。良いところだったのに。
ーーなんてな冗談だよ。彼女とは元々顔見知りだったんだよ」
からかってくる新郎を亀集院さんは冗談で返す。

何人かを交えて、他愛もない社交辞令的な話題でしばらく雑談した。
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