我妻教育3
亀集院さんの昔の印象は、取っつきにくそうな大人の男の人って感じで、まだ高校生だったあたしには近寄りがたい感じだったけど。

意外。
フレンドリーで話しやすい感じ。

人と話すのが上手くないと会社経営なんて出来ないだろうけどね。

良い雰囲気のまま結婚式は終了した。
いい式だったなぁ~。


会場の外に出ようというタイミングで、亀集院さんが横に来て、耳打ちしてきた。
「松葉グループの御曹司とは婚約しなかったって聞いたけど」

「あ、はい。そうなんです」
てへへ、と苦笑いする。

「じゃあ、俺にもチャンスがあるってことか」

「へ?」

あまりにさらっと言うから、聞き逃しそうになった。

チャンスって言った?
何を冗談を…と、ぽかんとしてると、さっと背中を押された。

「車で来てるんだ。送るよ」

「車?」

「このあと仕事あるからお酒は飲んでないんだ」

「でも…」
もちろん遠慮してたら、視線が足元に向けられた。

「足も疲れたでしょ?」

「…バレてました?」
慣れないヒールで既に足が痛かった。
見破られてたか…(恥)

「少しね。だから遠慮しないで、どうぞ」

「ありがとうございます」

ありがたく送ってもらうことにして、駐車場までついていく。
高級国産車だ。

「意外そうな顔してるね」
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