我妻教育3
上等な着物をお召しで、一目で見て、位の高いご婦人だということが分かる。
「おばあ様!」「大奥様!」
チヨさんと啓志郎くんの驚いた声が被り、ピリッとした緊張感が走る。
啓志郎くんのお祖母さん?!
松葉グループ会長夫人。
「おばあ様。ご無沙汰しております」
啓志郎くんが頭を下げる。
「啓志郎。お久しぶりね」
「大奥様、わざわざこんなところまでお越しくださいますなんて…」
チヨさんは居直り、恐縮している。
「近くまで来たものですから」
あたしも畏まってお辞儀をする。
「…こんにちは。垣津端未礼と申します」
「お話しさせていただくのは初めてでしたね。
啓志郎の祖母でございます」
会長夫人は、温雅な微笑みをたたえた。
お姿を拝見するのは久しぶりだけど、お年を重ねてらしても、たおやかに美しい。
それから、弛みなく伸びた背筋が気高く、纏うオーラに気圧される。
改めて、ラフな格好の自分が恥ずかしい。
「垣津端さん。ご実家のことはお聞き致しました。残念でらしたわね」
大変だったでしょう?と、慈愛の眼差しが向けられる。
あたしは再度頭を下げた。
「いえ。会社のことは、松葉グループに大変お世話になりまして、ありがとうごさいました」
「わたくしに申されましても、わたくしは、会社のことには何も口を出しておりませんので、存じ上げておりませんけどね」
「おばあ様!」「大奥様!」
チヨさんと啓志郎くんの驚いた声が被り、ピリッとした緊張感が走る。
啓志郎くんのお祖母さん?!
松葉グループ会長夫人。
「おばあ様。ご無沙汰しております」
啓志郎くんが頭を下げる。
「啓志郎。お久しぶりね」
「大奥様、わざわざこんなところまでお越しくださいますなんて…」
チヨさんは居直り、恐縮している。
「近くまで来たものですから」
あたしも畏まってお辞儀をする。
「…こんにちは。垣津端未礼と申します」
「お話しさせていただくのは初めてでしたね。
啓志郎の祖母でございます」
会長夫人は、温雅な微笑みをたたえた。
お姿を拝見するのは久しぶりだけど、お年を重ねてらしても、たおやかに美しい。
それから、弛みなく伸びた背筋が気高く、纏うオーラに気圧される。
改めて、ラフな格好の自分が恥ずかしい。
「垣津端さん。ご実家のことはお聞き致しました。残念でらしたわね」
大変だったでしょう?と、慈愛の眼差しが向けられる。
あたしは再度頭を下げた。
「いえ。会社のことは、松葉グループに大変お世話になりまして、ありがとうごさいました」
「わたくしに申されましても、わたくしは、会社のことには何も口を出しておりませんので、存じ上げておりませんけどね」