我妻教育3
雨がバリバリと大きな音を立てて、窓に打ち付けた。
悲鳴のような暴風が吹きつけて、古い民家を大きく軋ませる。

今、台風が最接近してるよう。

電気をつけようとしたら、つかない。
えっ!停電?!

家が揺れる。台風怖っ!

「ギャ!!怖い怖い!!
啓志郎くんいる?!壊れる!啓志郎くん!」

掛け布団を頭から被って、ふすまを叩く。

「未礼。開けるぞ」
そう言って、ふすまを開けた啓志郎くんに、掛け布団被ったまま突進した。

「怖いよ~」しがみつく。

「大丈夫だ、私はここにいる」

掛け布団ごと抱き留めて、小さな子どもにするようにトントンと甘やかされる。

「落ち着いて、取り合えず座るのだ」

啓志郎くんに促されて、並んで座る。

台風が落ち着くまでしばらくこうしていよう、と体操座りして。

静かに寄り添うように。

暗い部屋。叫んでるような風の音と、ガタガタと揺れる窓は、変わらず。


立てた膝の上に腕を乗せ、その上におでこを押し付けて目を閉じた。

横に感じる体温。

いつの間に、頼もしくなっちゃって。
どんどん大人になっちゃって。

不思議と、もう怖くない。


「先程の話の続きだが…」
< 64 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop