我妻教育3
「心配しないで下さい。
年の近い啓志郎さんが、ここまでのことができるっていうのに、僕もいつまでも甘えてられませんから」
掃除の手を止め、勇は啓志郎くんに向き合った。
啓志郎くんも掃除を中断し勇を見返す。
「父が心配でここについてきましたが、僕は逃げたわけではありませんから。
諦めてません。
時間がかかっても、いつか自分の力で取り戻してみせます。
きっと、姉さまも解ってくれると思います」
力強い勇の言葉。
真剣な面差しに、早朝の鋭い日射しが突き刺さるように眩しい。
「…そうか。頼もしいものだな」
啓志郎くんがフッとはにかむ。
「啓志郎さん程ではないです」
勇も微笑み返した。
邪魔できない気がして、その場を静かに離れた。
あたしの知らないところで、家のことで、そんな話があったなんて。
啓志郎くんが、家を売らずに済むように援助しようとしてくれてた。
それを勇は断った。
自分の力で取り戻すだなんて、勇がそんなこと考えていたなんて。
いつの間にこんなに強く成長してたんだろう。
目頭が熱くなる。
あたしも、クヨクヨしてられないじゃん。
あたしも、頑張るしかないじゃん。
それに啓志郎くん、投資で稼いでるって言ってたけど、どんだけ稼いでるの?!
…貴方って子は…どこまでスゴいの、もう怖いよ!
庭を抜け、酒蔵の表玄関に出た。
山指さんの息子さんや近所の人たちと一緒に、表通りを掃除をする義父がいた。
年の近い啓志郎さんが、ここまでのことができるっていうのに、僕もいつまでも甘えてられませんから」
掃除の手を止め、勇は啓志郎くんに向き合った。
啓志郎くんも掃除を中断し勇を見返す。
「父が心配でここについてきましたが、僕は逃げたわけではありませんから。
諦めてません。
時間がかかっても、いつか自分の力で取り戻してみせます。
きっと、姉さまも解ってくれると思います」
力強い勇の言葉。
真剣な面差しに、早朝の鋭い日射しが突き刺さるように眩しい。
「…そうか。頼もしいものだな」
啓志郎くんがフッとはにかむ。
「啓志郎さん程ではないです」
勇も微笑み返した。
邪魔できない気がして、その場を静かに離れた。
あたしの知らないところで、家のことで、そんな話があったなんて。
啓志郎くんが、家を売らずに済むように援助しようとしてくれてた。
それを勇は断った。
自分の力で取り戻すだなんて、勇がそんなこと考えていたなんて。
いつの間にこんなに強く成長してたんだろう。
目頭が熱くなる。
あたしも、クヨクヨしてられないじゃん。
あたしも、頑張るしかないじゃん。
それに啓志郎くん、投資で稼いでるって言ってたけど、どんだけ稼いでるの?!
…貴方って子は…どこまでスゴいの、もう怖いよ!
庭を抜け、酒蔵の表玄関に出た。
山指さんの息子さんや近所の人たちと一緒に、表通りを掃除をする義父がいた。