アラサーですが異世界で婚活はじめます
艶やかな黒髪が風にそよぎ、リオネルは気持ちよさそうにヘーゼルの瞳を細める。
遠くを見つめ、何事かを考えているような表情。
鼻梁の高い端正な横顔は一度見つめてしまえば、容易に目を離すことができない魅力にあふれている。
「リオネル、あの、わたし……ドパルデュー家のご子息と、会うことにしたの」
黙ったまま、リオネルが軽く首を傾げて美鈴の方を向いた。
「お手紙を頂いて……優しそうな方だし、それで……」
こんなこと、ジャネットに聞いてリオネルはとっくに承知のはず……それを分かっていて美鈴は続けた。
もし、ドパルデュー家の子息と上手くいくようであれば。
ルクリュ家のためにも縁談を断ることはできないだろう。
婚活は完了し、美鈴は結婚する――今まで『結婚』など考えたこともなかった身だけれど、この世界で貴族の娘として暮らしていくにはそれは避けられないことのように思えた。
「知ってる。……そのためのドレスだ」
リオネルがポツリとそう答えた。
……そう、わかってくれているなら……。
もう、私にちょっかいを出すのはやめて。そうでないと……。
これ以上、リオネルに心をかき乱されるのは、『よくない』。
遠くを見つめ、何事かを考えているような表情。
鼻梁の高い端正な横顔は一度見つめてしまえば、容易に目を離すことができない魅力にあふれている。
「リオネル、あの、わたし……ドパルデュー家のご子息と、会うことにしたの」
黙ったまま、リオネルが軽く首を傾げて美鈴の方を向いた。
「お手紙を頂いて……優しそうな方だし、それで……」
こんなこと、ジャネットに聞いてリオネルはとっくに承知のはず……それを分かっていて美鈴は続けた。
もし、ドパルデュー家の子息と上手くいくようであれば。
ルクリュ家のためにも縁談を断ることはできないだろう。
婚活は完了し、美鈴は結婚する――今まで『結婚』など考えたこともなかった身だけれど、この世界で貴族の娘として暮らしていくにはそれは避けられないことのように思えた。
「知ってる。……そのためのドレスだ」
リオネルがポツリとそう答えた。
……そう、わかってくれているなら……。
もう、私にちょっかいを出すのはやめて。そうでないと……。
これ以上、リオネルに心をかき乱されるのは、『よくない』。