アラサーですが異世界で婚活はじめます
08 アルノー伯爵邸
フェリクスに促されアルノー伯爵家の別邸に通された美鈴は屋敷の中を見て思わず息をのんだ。
玄関ホールの床材は白大理石のような模様が入った石が敷き詰められ、二階へ続く階段が奥に見える。
階段には深海を思わせる青色のカーペットが敷かれており、踊り場の天井には金色の波を模したデザインのシャンデリアが、窓からの微光を受けて鈍く光っている。
邸宅の外観から受ける印象を裏切らない、上流貴族の品格を保ちながらも落ち着きのある、洗練された内装だった。
フェリクスは白い窓枠の大きな窓のあるサロンルームへ美鈴を通すと、彼女をそっと柔らかい布張りの椅子に座らせた。
「こちらでお待ちを。すぐに手当の用意をします」
そう言って優雅な動作で軽く一礼すると、美鈴をサロンに残してフェリクスは一旦その場を離れた。
そっと周囲を見渡すと薄青の石で造られたマントルピースの上には、肖像画ではなく、花飾りのような縁取りを施した丸型の鏡がかかっている。
足元のカーペットも、厚みがあるしっかりとしたもので、エジプシャンブルーにミモザの花のような薄黄色の花の文様が散らされていた。
家の顔であるサロンの調度品や玄関部分、ひいては屋敷全体を「青」を基調として統一しているのであろう、この屋敷の意匠は、フェリクスの少し翳のある雰囲気と見事に調和しているように美鈴には感じられた。
しばらくすると、コートを脱いだフェリクスが、濃紺の唐草のような蔦模様が描かれた白地の湯桶を持ち、布を腕にかけて戸口に現れた。
「まず、足を洗いましょう……」
玄関ホールの床材は白大理石のような模様が入った石が敷き詰められ、二階へ続く階段が奥に見える。
階段には深海を思わせる青色のカーペットが敷かれており、踊り場の天井には金色の波を模したデザインのシャンデリアが、窓からの微光を受けて鈍く光っている。
邸宅の外観から受ける印象を裏切らない、上流貴族の品格を保ちながらも落ち着きのある、洗練された内装だった。
フェリクスは白い窓枠の大きな窓のあるサロンルームへ美鈴を通すと、彼女をそっと柔らかい布張りの椅子に座らせた。
「こちらでお待ちを。すぐに手当の用意をします」
そう言って優雅な動作で軽く一礼すると、美鈴をサロンに残してフェリクスは一旦その場を離れた。
そっと周囲を見渡すと薄青の石で造られたマントルピースの上には、肖像画ではなく、花飾りのような縁取りを施した丸型の鏡がかかっている。
足元のカーペットも、厚みがあるしっかりとしたもので、エジプシャンブルーにミモザの花のような薄黄色の花の文様が散らされていた。
家の顔であるサロンの調度品や玄関部分、ひいては屋敷全体を「青」を基調として統一しているのであろう、この屋敷の意匠は、フェリクスの少し翳のある雰囲気と見事に調和しているように美鈴には感じられた。
しばらくすると、コートを脱いだフェリクスが、濃紺の唐草のような蔦模様が描かれた白地の湯桶を持ち、布を腕にかけて戸口に現れた。
「まず、足を洗いましょう……」