アラサーですが異世界で婚活はじめます
「……」
足を水で清めてから、腕にかけた柔らかい布で美鈴の足を丁寧に拭く、俯いたフェリクスの表情は、椅子に座った美鈴からはうかがい知ることができない。
しかし、亜麻色の髪に遮られ、隠された彼の白皙の頬は、女性に対する緊張と羞恥心から鮮やかな紅色に染まっていた。
お互いに無言のまま、シンと静まり返った部屋の中足の手当ては滞りなく進んでいったが,
ふいに窓の外から弱雨の降リ出す音が聞こえて来た。
「……やはり、雨が」
美鈴の足に包帯を当てがったまま、顔を上げ、窓辺を見ながらフェリクスが呟いた。
「ええ……まだ、弱い雨のようですが……」
美鈴も、雨音が聞こえるとほぼ同時に窓を見やると、フェリクスに答えた。
……今頃、リオネルはどうしているだろうか。
降りしきる雨の中、自分を探してくれているのだとしたら……。
往きの馬車の上で交わした彼との会話や裏表のない明るいリオネルの笑顔が思い出されて美鈴の心はきゅっと痛んだ。
……わたしが、変に気を回さなければ、こんなことにはならなかったのに……。
苦い後悔が美鈴の胸にこみあげてくる。
患部に薬を塗り、包帯で足先と踵を保護してから、フェリクスは再び美鈴の脚を支え、痛みを与えないよう細心の注意を払いながら靴を履かせた。
「……さあ、これでもう大丈夫」
足を水で清めてから、腕にかけた柔らかい布で美鈴の足を丁寧に拭く、俯いたフェリクスの表情は、椅子に座った美鈴からはうかがい知ることができない。
しかし、亜麻色の髪に遮られ、隠された彼の白皙の頬は、女性に対する緊張と羞恥心から鮮やかな紅色に染まっていた。
お互いに無言のまま、シンと静まり返った部屋の中足の手当ては滞りなく進んでいったが,
ふいに窓の外から弱雨の降リ出す音が聞こえて来た。
「……やはり、雨が」
美鈴の足に包帯を当てがったまま、顔を上げ、窓辺を見ながらフェリクスが呟いた。
「ええ……まだ、弱い雨のようですが……」
美鈴も、雨音が聞こえるとほぼ同時に窓を見やると、フェリクスに答えた。
……今頃、リオネルはどうしているだろうか。
降りしきる雨の中、自分を探してくれているのだとしたら……。
往きの馬車の上で交わした彼との会話や裏表のない明るいリオネルの笑顔が思い出されて美鈴の心はきゅっと痛んだ。
……わたしが、変に気を回さなければ、こんなことにはならなかったのに……。
苦い後悔が美鈴の胸にこみあげてくる。
患部に薬を塗り、包帯で足先と踵を保護してから、フェリクスは再び美鈴の脚を支え、痛みを与えないよう細心の注意を払いながら靴を履かせた。
「……さあ、これでもう大丈夫」