アラサーですが異世界で婚活はじめます
美鈴がフェリクスに改めて礼を述べている間に、リオネルは美鈴の席に回り込んでそっと彼女の片手をとった。
そのまま、美鈴が馬車から降りるのを助け、馬車の上のフェリクスにもう一度礼をする。
「……では、ミレイ嬢、バイエ殿、私はこれで」
軽く会釈をしてそう言い残すと、フェリクスは馬車を駆ってあっさりとその場を去ってしまった。
それはあまりにもあっけない別れだったが、どこか飄々としたフェリクスらしいと思いながら彼を見送っていた美鈴は、すぐ横で自分をじっと見つめるリオネルの視線に気づいて急いで彼に向き直った。
「リオネル……! わたし……。し、心配かけて……本当に……ごめんなさい」
つい、元いた世界の習慣でリオネルに向かって深く頭を下げて美鈴は謝罪した。
その瞬間……逞しい腕が美鈴の背中に回され、あっという間に美鈴はリオネルの胸に抱き寄せられた。
「……俺の方こそ、悪かった。ミレイ……君を一人で行かせるんじゃなかった……俺がもっと早く、君の後を追っていれば……」
悔恨の情を込めて呟いたリオネルには、いつものふざけたような態度は欠片も見られず、美鈴が無事に彼の元に戻ったことに心の底から安堵しているようだった。
ことの成り行きを唖然として眺めていたバイエ家の御者が我に返って慌てて二人の元にやってくるまで、永遠に続くかのようなリオネルの抱擁に美鈴はただ身を任せていた。
そのまま、美鈴が馬車から降りるのを助け、馬車の上のフェリクスにもう一度礼をする。
「……では、ミレイ嬢、バイエ殿、私はこれで」
軽く会釈をしてそう言い残すと、フェリクスは馬車を駆ってあっさりとその場を去ってしまった。
それはあまりにもあっけない別れだったが、どこか飄々としたフェリクスらしいと思いながら彼を見送っていた美鈴は、すぐ横で自分をじっと見つめるリオネルの視線に気づいて急いで彼に向き直った。
「リオネル……! わたし……。し、心配かけて……本当に……ごめんなさい」
つい、元いた世界の習慣でリオネルに向かって深く頭を下げて美鈴は謝罪した。
その瞬間……逞しい腕が美鈴の背中に回され、あっという間に美鈴はリオネルの胸に抱き寄せられた。
「……俺の方こそ、悪かった。ミレイ……君を一人で行かせるんじゃなかった……俺がもっと早く、君の後を追っていれば……」
悔恨の情を込めて呟いたリオネルには、いつものふざけたような態度は欠片も見られず、美鈴が無事に彼の元に戻ったことに心の底から安堵しているようだった。
ことの成り行きを唖然として眺めていたバイエ家の御者が我に返って慌てて二人の元にやってくるまで、永遠に続くかのようなリオネルの抱擁に美鈴はただ身を任せていた。