アラサーですが異世界で婚活はじめます
この世界に来るまで、男性に手を握られたことすらなかった……そんな自分が、果たして結婚などできるのだろうか……。
俯いて膝の上に置いた両手をじっと見つめてから、美鈴はぎゅっと両の拳を握りしめた。
……今夜、舞踏会に参加するのは、自分の意志で決めたこと。もう、後に退くことはできない。
美鈴は顔を上げると、立ち上がってもう一度窓辺から朝の空を見上げた。
青い空の端、見事なグラデーションを構成している一部の色に、ふと既視感を覚えて美鈴は首を傾げた。
ほんのわずかにグレーがかった、どこまでも透明なブルー……アイスブルーの空の色を見て、美鈴はすぐにあの瞳……フェリクス・ド・アルノーの美しい瞳を思い出した。
あの日、偶然に森で出会い助けられた後、美鈴がルクリュ子爵夫人にごく簡略に事の次第を説明して彼について尋ねた時、「アルノー」という家名を聞いた夫人は驚きのあまり口許を手で押さえたまま、目を丸くしてしばし沈黙していた。
アルノー伯爵家は古い歴史をもつ名門貴族としてフランツ王国 パリスイで知らぬ者はいないほど有名な一族だった。
俯いて膝の上に置いた両手をじっと見つめてから、美鈴はぎゅっと両の拳を握りしめた。
……今夜、舞踏会に参加するのは、自分の意志で決めたこと。もう、後に退くことはできない。
美鈴は顔を上げると、立ち上がってもう一度窓辺から朝の空を見上げた。
青い空の端、見事なグラデーションを構成している一部の色に、ふと既視感を覚えて美鈴は首を傾げた。
ほんのわずかにグレーがかった、どこまでも透明なブルー……アイスブルーの空の色を見て、美鈴はすぐにあの瞳……フェリクス・ド・アルノーの美しい瞳を思い出した。
あの日、偶然に森で出会い助けられた後、美鈴がルクリュ子爵夫人にごく簡略に事の次第を説明して彼について尋ねた時、「アルノー」という家名を聞いた夫人は驚きのあまり口許を手で押さえたまま、目を丸くしてしばし沈黙していた。
アルノー伯爵家は古い歴史をもつ名門貴族としてフランツ王国 パリスイで知らぬ者はいないほど有名な一族だった。