アラサーですが異世界で婚活はじめます
「アルノー伯爵も生真面目に見えて、実際は移り気な方なのかもしれないわよね、なにせ……」
令嬢たちのさえずりを一気に静めたのは、二、三人の従僕を伴ってこちらへやって来るフォンテーヌ侯爵夫人のシャラシャラと耳に心地よいドレスの衣擦れの音だった。
「しぃっ!……侯爵夫人よ、挨拶にいらっしゃったようだわ」
アリアンヌが踊っている最中、主催者である侯爵夫人その人は、自ら先ほど第一の間に控えていた貴族たちの間を廻り、招待客たちに今宵の舞踏会への参加の礼を述べていた。
美鈴のすぐ隣に立つ令嬢とその母親に挨拶を済ませると、侯爵夫人の艶やかに光る黒い瞳がリオネルと美鈴の姿を捉えた。
緩やかなカーブを描いた唇の口角を上げて、笑顔を浮かべた侯爵夫人がゆっくりと二人に歩み寄る。
「リオネル・ド・バイエ殿……お久しぶりね。そして隣にいらっしゃるのが、ルクリュ子爵のお嬢様……ですわね」
さきほど見かけた時と同じく、一見優し気に見えて強い光を宿した瞳に見据えられて、美鈴は夫人に対して跪礼をしながらこの世界での自らの名を名乗った。
「お初にお目にかかります。……ミレイ・ド・ルクリュです……」
令嬢たちのさえずりを一気に静めたのは、二、三人の従僕を伴ってこちらへやって来るフォンテーヌ侯爵夫人のシャラシャラと耳に心地よいドレスの衣擦れの音だった。
「しぃっ!……侯爵夫人よ、挨拶にいらっしゃったようだわ」
アリアンヌが踊っている最中、主催者である侯爵夫人その人は、自ら先ほど第一の間に控えていた貴族たちの間を廻り、招待客たちに今宵の舞踏会への参加の礼を述べていた。
美鈴のすぐ隣に立つ令嬢とその母親に挨拶を済ませると、侯爵夫人の艶やかに光る黒い瞳がリオネルと美鈴の姿を捉えた。
緩やかなカーブを描いた唇の口角を上げて、笑顔を浮かべた侯爵夫人がゆっくりと二人に歩み寄る。
「リオネル・ド・バイエ殿……お久しぶりね。そして隣にいらっしゃるのが、ルクリュ子爵のお嬢様……ですわね」
さきほど見かけた時と同じく、一見優し気に見えて強い光を宿した瞳に見据えられて、美鈴は夫人に対して跪礼をしながらこの世界での自らの名を名乗った。
「お初にお目にかかります。……ミレイ・ド・ルクリュです……」