キミの足が魅惑的だから
「泣かせちゃった」

 目尻に残る涙を指ですくい取ると、俺は液体を舐めた。しょっぱい。

 泣かせるつもりはなかったのにな。でも泣かせてしまった。

 こんなにも誰かを強く想うなんて初めてだ。早く自分のモノにしたくて……なりふり構わずに……って、恰好悪すぎる。

 さくらの気持ちを無視して、なんどもセックスをして……痛がってるのに、「やめて」って何度も言われたのに。

「妊娠してとか……ヤバいだろ、俺」

 さくらの太腿に噛みつきたいって思うだけでも変態発言なのに。妊娠だの、結婚だのって。

 己の阿呆さ加減に呆れてしまう。さくらだってよく俺に足を広げたよなって思うくらいだ。

「でも……本当に、誰にも渡したくないんだ」
 こんな気持ち初めてなんだよ、さくら……。

 誰にも抱いたことがない。女なんて、キンキンうるさくて、人の行動を制約して、束縛して……友達には自慢しまくって。ブランド物で、愛の深さを測って。エッチは、俺のシたいときにさせてくれないんだ。

 俺がシたくないときにしろって強請ってきて、断れば怒って……面倒くさい。

 さくらになら……キンキンと攻められたいくらいなんだ。赤いヒールごと、愛したい。

「……って、俺……まだ仕事の途中だったんだ。終わらなくて、放ってきたっけ。とりあえず、さくらを送るだけ送って、戻ろうって。ああ……めんどくせえけど、仕事に戻るか」
 眠っているさくらの瞼にキスを落とした。
< 11 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop