温かいこの場所で、君と
少し、夏羽は理解した。財布を一生懸命探したのは、両親の時のような恐怖ではなく、ミゲルを言葉以上に愛しているからだと。

「Nais kong mapasaya ka(俺は君を幸せにしたい)Nais kong makasama kahit mayroon(何があっても君と一緒にいたいんだ)Mahal na mahal kita(心から愛してる)」

夏羽に愛をくれた人、今も愛をくれる人が目の前にいる。優しく、儚い笑顔でミゲルは愛を口にしている。

夏羽の胸がどんどん温かくなって、涙があふれていく。ミゲルから告白された時もそうだった。自然と「愛してる」と言っていた。

「Maging isang pamilya(家族になってください)」

そうミゲルが言い、ポケットからリボンのついた箱を取り出す。そこには、土星のチャームのついた可愛らしいブレスレットがあった。

「本当は指輪がよかったかもしれないけど……」

ミゲルが頰をかきながら言う。しかし、夏羽は首を横に振った。また目の前がぼやけていく。
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