温かいこの場所で、君と
ミゲルは夏羽の気持ちを察し、いつも明るくフレンドリーに接してくれる。キスやハグで愛を伝えてくれる。そのたびに、夏羽は泣きたくなるほど幸せになるのだ。

「夏羽、今日はデートしない?」

ミゲルがそう真剣な顔で夏羽を見つめる。今日はお互いの仕事も休みだ。

「うん、どこかへ行こう」

夏羽は微笑む。ミゲルは「Salamat sa iyo!(ありがとう!)」と夏羽の頰を包み、優しいキスをする。

「……んっ」

何度もしているとはいえ、夏羽はいつも恥ずかしさを感じてしまう。赤い顔をミゲルからそらした。

「Ang ganda!(可愛い!)」

ミゲルの声が夏羽の耳元で響く。もう一度唇が重なろうとした時、「お兄ちゃ〜ん!夏羽〜!」と女の子の声が聞こえてきた。

白いワンピースを着た十歳くらいの女の子が二人に向かって走ってくる。二人は慌てて離れた。

「メロディ!Magandang umaga(おはよう)」

ミゲルと夏羽は同時に言った。

メロディはミゲルの一番下の妹だ。まだ小学校に通っている。
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