執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
プロローグ
ベッドの上で小さくみじろぐと、スプリングが軋む音がかすかに聞こえた。
アルコールのせいで少しぼやけた視界に映るのは、ベッドに横たわる私を見下ろすひとりの男の人。
黙っていれば近寄りがたく感じるほど男らしい端正な顔に、百八十センチ近い長身。大人の魅力があふれる彼に見つめられ、体の奥がぞくりと震える。
彼と別れてから三年間、私はこの人のことをどんなに忘れようとしても忘れることができなかった。
彼の肩越しには、高い天井が見えた。そして、キラキラと輝く美しいシャンデリアも。
一般庶民の私にはまったく縁のない、高級ホテルのスイートのベッドルーム。
豪華なこの空間は素敵すぎてなんだか現実味がない。
こんな場所でずっと忘れられなかった元カレとふたりきりでいるなんて、もしかしたら私は夢をみているのかもしれない。
酔った頭でそんなことを考えながら、私はこちらを見下ろす彼を見つめる。