執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
雅文side
執務室で仕事を片付けスマホを見ると、まどかからメッセージがきていた。
【急用が入ったので帰ります】という事務的な一文。
使い古されたお断りの言い訳に、思わずがっくりと肩が落ちた。
数日前、まどかに逃げられホテルにひとり取り残された朝を思い出す。
自分の腕のなかですやすやと眠っていたまどかが、シャワーを浴びるために少し目を離したすきにあっという間に逃げ出してしまった。
こんなに必死に追いかけているのに、そう何度も逃げられてたまるかという執念のような感情が湧いてくる。
俺は「クソっ」と小さく舌打ちをして、勢いよく立ち上がった。
時計を見れば、定時をわずかにすぎた時間。
メッセージも数分前に届いたばかりだ。まどかはまだ社内にいるかもしれない。