執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~

「なにか約束でもしていたんですか?」

 俺がものすごく落ち込んでいるように見えたのか、気の毒そうな視線を向けられ「いや。少し用事があっただけ」と苦笑いしてとりつくろう。

 すると、大山さんの隣にいた女性社員が眉を八の字にしてぷるぷる震えながらこちらを見ているのに気が付いた。

「うわぁ……。イケメンで有能で御曹司の瀧内部長が落ち込んでる感じ……。すごくいい……」

 いったいなんのことだと首をかしげると、大山さんも彼女に同意するように深くうなずいた。

「小山、わかるわ。完璧な男が必死になったり取り乱すのを遠目に観察するのって、萌えるよね……」

 ふたりから、いろんな感情が含まれた視線でねっとりと見つめられ、ちょっと背筋が冷たくなる。
 俺が頬をひきつらせながら作り笑いを浮かべて後ずさりすると、元上司の課長が声をかけてきた。


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