執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「私、歳の離れた双子の弟がいて、よく遊び相手をしていたから体力には自信があるんだ」
「双子の弟って、にぎやかそうですね。何歳離れてるんですか?」
「十歳。今は中学生なの」
「へぇー!」
わんぱくな弟たちがまだ赤ちゃんだったころのかわいい姿を思い出しながら目をほそめる。
「というわけだから、私が運ぶよ」
そう言って段ボールを持ち上げようとかがむ。両手でがっしりと掴むと、予想以上の重さにぐっと唇を噛んだ。
「おも! なに入ってるのこれ?」
「過去の報告書です。データ化してって頼まれたんですけど、すごい量で」
「紙は重いもんねぇ」
「広瀬さん、本当に無理しないでくださいよ?」
「うん、大丈夫」
腕をぷるぷるさせながらそう言うと、重たい段ボールが急に軽くなった。
驚いて目を見開くと、雅文がこちらを見下ろしていた。