執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~


 私はまだ二十八歳で、思春期の息子がいるような年齢じゃないんだけど。と思わず苦笑いする。

「そうだ、広瀬さん。今週末うちの部署で瀧内部長の歓迎会をしたいと思ってるんですけど、予定はどうですか?」
「え!」

 突然そう言われ驚いていると、少し離れた席に座っていた課長から「瀧内はもともとうちの部署にいたんだから、歓迎してやらないとかわいそうだろ」と声が飛んできた。

 それもそうか……。と肩を落とす。

「もちろん広瀬さんも来ますよね?」
「ええと、私は」

 気まずいからできれば出席したくない。
 なんとか断る口実を探していると、「広瀬さんが来ないと、瀧内部長がさみしがりますよ」と言われ、驚いてせきこみそうになった。

「な、なんで私がいないとさみしいなんて……」

 まさか私たちが付き合っていたことがバレている? と激しく動揺していると、大山さんは首をかしげる。
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