執着求愛～一途な御曹司の滴る独占欲～

　会社にとっても大きな挑戦となるアメリカ進出を任されたことは、純粋にうれしかった。
　けれど同時に無期限のアメリカ赴任に不安もあった。

　仕事が大好きなまどかは、日本でスーパーバイザーとしてイキイキと働いていた。
　そんな彼女に軽々しくアメリカについてきてくれとは言えない。

　アメリカ赴任を受ければまどかとは数年遠距離恋愛をすることになる。
　しかも、俺が社長の孫だということもばれてしまう。

　付き合ったばかりのころに正直に話しておけばよかったという後悔と、今更悩んでも遅いんだという自己嫌悪にさいなまれながら、どうすれば誠意がまどかに伝わるか必死に考えた。

　そして、彼女へプロポーズしたいと思った。

　アメリカに行っても彼女を失いたくない。一生まどかとともにいたい。
　俺がアメリカから帰ってきたら結婚しよう。指輪を渡してそう愛を誓おうと思っていた俺は、まどかを家にまねいた。


　けれど俺が切り出す前にまどかの口から出てきたのは、別れの言葉だった。