執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「今日は朝から呼び出してごめんね。じゃあ、またゆっくり遊びに来てね」
そう言って玄関で手を振るふたりにうなずいて外に出る。
雅文とふたりで車の停めてある近くのコインパーキングに向かって歩きながら、さりげなく話しかけた。
「ねぇ雅文。どうして瞬くんが浮気をしていないって思ったの?」
浮気と聞いて頭に血がのぼった私とは正反対に、ずっと冷静だった彼を不思議に思ってそうたずねる。
「そりゃ、俺はふたりとは面識がなくて他人だから先入観もなく客観的に見られたっていうのもあるけど」
そう言って一度言葉をくぎると、雅文は私の方を振り返った。
「男が結婚を決意するのに、どれだけの覚悟と責任感が必要だと思ってるんだ。彼女が妊娠しているとなれば、ふたりぶんの人生を背負っていかないといけないんだから、軽い気持ちで浮気をするわけがないと思っただけだよ」
雅文の真剣な言葉に胸が締め付けられる。
朋美の言う通り、彼は誠実でいい人だと思う。だけど……。胸の奥の傷がじくりと痛んだ。