執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「でも、みんながみんな、そんな責任感を持っているわけじゃないでしょ。自分勝手な理由で、大切な家族を簡単に捨てられる人だっている」
「まどか?」
不思議そうに名前を呼ばれ「なんでもない」と首を横に振る。
「今日はありがとう。じゃあ私は帰るね」
私がお礼を言って歩き出そうとすると、腕を掴まれひきとめられた。
「待って。まどか、俺に嘘をついてただろ」
雅文に睨まれドキッと心臓が跳ねる。
「う、嘘なんてついてないけど……」
「前にバーで愚痴っていた男って、さっきの朋美さんの彼のことだろ? 浮気性の恋人がいるっていうのは嘘だったんだ?」
その質問に後ろめたくて一瞬言葉につまる。深呼吸をしてから、おずおずと口を開いた。
「た、確かにバーで瞬くんの愚痴を言っていたけど、私は自分の恋人だなんてひと言も言ってないよ。雅文が勝手に誤解しただけだからね」
「でも、俺が誤解してるってわかってて、黙っていたんだろ? まどかに恋人がいると思って、俺がどれだけ嫉妬したと思ってるんだよ」
そう詰め寄られ、思わず視線が泳ぐ。確かに雅文の言うとおりだ。