執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
今までだって遠慮してるとは思えないくらい積極的だったのに、これからはもっと口説かれるなんて絶対に心臓が持たない。どうしよう。
青ざめる私とは対照的に、雅文は楽しげにくすくすと肩を揺らして笑っていた。
そんな彼に私が頬を膨らませると、雅文は「そうだ」と思い出したように一枚の紙を私に差し出す。
なんだろうと首をかしげながら受け取った紙を開く。それは今朝雅文の部屋で見た、郊外型の新店舗のデザインだった。
「これ……」
驚いて慌てて顔を上げ雅文を見ると、彼は「ずっと眺めていられるくらい、気に入ったんだろ」と小さく笑う。
雅文の部屋でこれを見たときに『持ってていいよ』と言っていたけれど、まさか本気だとは思わなかった。
「い、いいの?」
「あぁ。これはまどかが持っていて大丈夫」
戸惑う私にやさしくうなずいて、雅文は歩き出す。
その後ろ姿に「ありがとう。すごくうれしい」とお礼を言うと、彼はこちらを振り返って笑った。