執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「そのかわり、また俺の部屋に泊まりに来てくれる?」
いたずらっぽくそう言われ、ぐっと言葉につまる。顔をしかめた私に向かって雅文は、「冗談だよ」と肩をあげた。
「こんなふうに物を引き換えに誘わなくても、まどかが望んで俺のところにくるようになるまでとことん口説くから」
耳元で甘い声で囁かれ、頬が熱くなった。
そんな色っぽい表情で見つめられたら、どうしていいかわからなくなる。
「おいで。家まで送るよ」
雅文は何事もなかったかのように車へと歩き出す。
私はなんとか気持ちを落ち着けようと深呼吸をしてから彼の後を追った。
車で送ってもらい部屋に帰ってきてから、雅文からもらった店舗のデザイン画を見下ろした。
見ているだけで胸がドキドキするくらい素敵な新店舗。
こんな素敵なお店を作り出せる雅文が、憎らしいくらい魅力的に思えた。
私はもらったデザイン画を丁寧にたたむ。まるで宝物のように、お守りのように、手帳の間に大切に挟み込んだ。