執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
突然の疑惑
 


「瀧内部長、絶好調ですね」
「この前も経済番組のインタビューを受けていたし、この雑誌の対談もすごく評判がいいって」


 社内で漏れ聞こえるそんな会話を聞きながら、私はリフレッシュスペースで雑誌を見下ろしため息をつく。

 これまでもコーヒーチェーンとしては日本で一番の店舗数と売上高を誇っていたINO’S COFFEEだけど、アメリカで成功をおさめた雅文が帰国し事業部長となってからはさらに話題を集めるようになっていた。

 それは雅文が積極的にメディアに出て広告塔のように活動しているから。

『俺個人が注目されるのは本意じゃないけど、アメリカから帰国したばかりの俺が情報を発信することはINO’S COFFEEが日本だけじゃなく世界的なブランドだというイメージを定着させるチャンスだからね』

 そう言って精力的に働く雅文からは、相変わらず顔を合わせるたびに口説かれている。

 私に恋人がいないとわかったせいもあって、宣言通り手加減なしに甘い言葉や情熱的な視線を向けられ、正直私の理性はもはや崩れる寸前だ。
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